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Case 3 | 自動車メーカーZ社
レイアウト変更なし!省スペースで高トルク締結を自動化
産業向け協働ロボットが実現した“安全性”と“作業性”の両立とは
01 背景
自動車メーカーZ社の生産技術部では、サスペンションの組立工程において、現場作業者の負担を減らす自動化の検討が進められていました。工程の特性上、低い位置での高トルク締結が求められ、ツールの重さや作業姿勢の負担が深刻な課題でした。
02 課題
ナットランナーは作業者にとって高負荷!省スペースでの自動化は、何度試してもうまくいかず…
対象となったのは、車の骨格となるシャシー部品の一部における高トルク締結作業でした。その組立には高い締付トルク(約150N・m)が必要で、工具は大型で重く、さらに作業位置が腰よりも低いため、作業者には身体的な負担が大きいという問題がありました。
生産技術部のグループリーダーD氏はこう語ります。
「正直、この作業は毎回きついです。低い姿勢で、重たいツールを扱いながら、正確にボルトを締め続けるのはベテランでも大変でした。力の弱い方や女性には任せられない作業でした」
作業者の負担を軽減し、長期的な人材確保につなげるためにも自動化は避けられないと考えたD氏は、協働ロボットによる自動化を視野に入れます。しかし、作業現場のスペースには限りがあり、安全柵やセーフティレーザースキャナーの設置は現実的ではありませんでした。
「生産性と作業者の安全性を両立しながら、現状のラインレイアウトを変更せずに自動化を実現しなければなりません。人手不足も進む中で、より効率的で負担の少ない工程づくりが急務となっていました」(D氏)
早速、情報収集および各所に問い合わせをしますが、思うように使えるものはなかなか見つかりませんでした。多くの協働ロボットは、締めつけ終わりの反力を受けると保護停止してしまうため、安全機能をオフにする(非協働モードにする)必要があったのです。これでは接触時のリスク低減策としてロボット自体の安全機能は頼りにできないため、周辺の安全柵やセーフティレーザースキャナーによる対策が必須となり、導入にあたってラインレイアウトの大幅な変更が必要となります。
現状の生産環境を維持したまま自動化を進めるには、より柔軟な選定が求められましたが、解決方法が見つからないまま時間ばかりが過ぎていきました。
【課題のポイント】
- 高トルク締結に使用するツールが重く、低い作業位置での運用は作業者への負担が大きかった
- 安全柵の設置スペースがなく、安全性と自動化を両立する手段が見つからなかった
- 多くの協働ロボットは、締めつけ終わりの反力を受けると保護停止してしまった
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