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Case 5 | 自動車部品メーカーZ社
狭小空間の搬送作業を自動化!
AMR×協働ロボットで、安全・効率的な次世代ライン構築へ
01 背景
現場の負担軽減と省人化の両立を目指して、生産ラインの自動化に継続的に取り組んでいた自動車部品メーカーZ社。近年は労働人口の減少や熟練作業者の高齢化といった社会的な背景もあり、生産技術部が強い課題意識を持っていたのが粗材投入作業の自動化でした。
02 課題
省人化が急務なのに、スペースも安全も厳しい…… 自動化のジレンマに直面
Z社の主力工場では、鋳造後の粗材ワークを加工機前のバッファシュートへ手作業で投入する工程が、長らく現場の負担となっていました。
生産技術部のM氏は、このように語ります。
「作業者が一つずつ、4kgのワークをカゴから取り出してシュートへ入れる。それを繰り返す作業です。正直なところ、精神的にも肉体的にも大変な作業でした」
慢性的な人手不足も重なり、限られた人員の中で負担の大きい単純作業を続けるのは限界に近づいていました。さらに、腰や手首に慢性的な負担を感じているスタッフも少なくないことが明らかになります。働きやすい職場環境の整備は急務であり、ロボットによる自動化はその第一歩だと考えられました。
ところが、自動化への一歩を踏み出そうとしても、すぐには実現できませんでした。その理由は、作業エリアの「狭さ」と「安全性」です。投入ステーションの周辺は既存設備でほぼ埋まっており、産業用ロボットや走行軸の設置に必要な安全柵を設ける余裕はありませんでした。また、現場は人の行き来が激しく、万が一でも人とロボットが接触するようなことがあれば、安全配慮義務を問われかねません。
「いろいろなメーカーに相談したものの、スペースの制約から対応が難しいと判断されることがほとんどでした。それでも無理に導入しようとすれば、レイアウト変更やラインの改修が必要になって、コストも工数も跳ね上がってしまいます。それでは本末転倒です」(M氏)
さらに追い打ちをかけたのが、バラ積みの粗材ワークの存在でした。投入対象となる粗材は、整列されているわけではなく、カゴの中にランダムな角度・位置で積まれていたのです。従来型のロボットでは、ティーチング通りにしか動けないため、位置のばらつきには対応できません。
自動化の可能性を模索してみたものの、結局は人の手でなければ対応できない工程が多く、M氏は頭を悩ませていました。
【課題のポイント】
- 4kgのワークを手作業で繰り返し投入することで、作業者に身体的負担が集中していた
- 設備が密集する現場で、安全柵の設置もレイアウト変更も難しかった
- ランダムに積まれたバラ積みワークは、従来のロボットではピックアップ不可
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