Temar Sp. z o.o.

01 概要

　ポーランドの照明器具メーカー　Temar社。家族経営の同社工場では、溶接や塗装、プレス機や加工機へのワークのロード・アンロードに４台のユニバーサルロボットUR10eを活用しています。 URロボットが選ばれたのは、プログラミングや操作が簡単で、アームの長さも十分な上同社のニーズを満たす機能が備わっており、安全に操作できるから。ロボットの導入により加工コストを削減し、最終製品の品質を向上した結果、投資回収期間は最大２年と見積もられています。

02 ロボット導入前の課題

　Temarの目標は、工程の自動化により競争力を向上させること。目指す自動化ソリューションは安全性、精度、機能性に加え直感的な操作性という基準を満たすものでなければなりませんでした。またアームのリーチも重要で、半径１ｍ以内で人が操作でき、精密なフォーストルクセンサも内蔵されている必要がありました。さらに、人間とロボットが協働する際のエルゴノミクス（人間工学）も重要な要素でした。というのは、Temarは安全柵を設けることなく自動化ソリューションを作りたかったのです。

　Temarは当初従来型の産業用ロボットを使うことを考えましたが、ベンダーと協議した結果、システム構築が複雑でコストがかかりすぎることが判明しました。

03 ソリューション

　Temarの自動化は、ポーランドのURパートナーであるProCobot社が供給するURロボットがベースになっています。 UR10e の１号機は2019年12月に到着し、溶接ステーションに導入されました。2020年には追加の3台が塗装工程とプレス装置、レーザー装置へのワークの供給に導入されました。

　「スタッフたちはすぐに協働ロボットの操作に慣れ、彼らの仕事はプログラムのオンオフとロボットの運用を管理することになりました。エンジニアチームはこの新しいテクノロジーに満足しています。導入は自分たちで行い、より多くのワークステーションにロボットを入れています」（Temar社テクニカル・ディレクタ Łukasz Okoń氏）

　「我々は導入プロセスも自動化ワークステーションも完全に制御する必要があったのですが、ユニバーサルロボットはそれを満たしてくれました。URロボットは柔軟性が高く、自分たちでシステムを構築できたことは大きなアドバンテージです」（Temar社社長　Arkadiusz Okoń氏）

  　UR10eの仕事は、プレス機にスチールディスクを出し入れすることです。ロボットには吸盤付きグリッパがついており、これは真空ポンプにつながっています。これを使ってロボットはスチールディスクを取り上げプレス機に投入し、パレットに載せます。一方塗装工程のUR10eには電磁石式グリッパがついており、加工後の製品をコンベアに移します。溶接ロボットには標準のスタットガンが装着されており、ランプの金属フレームに特殊なスタッドを溶接します。溶接のパターンは、URロボットのティーチペンダントでプログラムします。レーザー工程での自動化は、今準備が進んでいるところです。

コストを削減しつつ、製品品質を向上

　Temarは、ユーザーフレンドリなプログラミング方法を高く評価しています。 すぐに使える機能や直感的なスクリプトも便利です。導入に先立ちTemarのエンジニアたちは、ProCobotのUR認定トレーニングセンターで基礎・応用トレーニングを受けました。もちろんURアカデミー内の無料のeラーニングも受講しています。

　「はじめは、自分たちの要求を満たす溶接ソリューションを開発するのは難しいと思いました。しかし、URのエキスパートたちに少し手伝ってもらうことで、良いプログラムを組むことができました」（ Łukasz Okoń氏）

　このような取り組みにより、Temarはより競争力のあるメーカーになり、魅力的な雇用主にもなりました。最も退屈で面倒な業務は、今や協働ロボットが行うのです。

　「見るところ協働ロボットは人間と同程度のペースでタスクをこなしますが、再現性が人間より優れています。競争が厳しい今、製品品質は非常に重要です。URロボットのお陰で、生産コストも大幅に削減することができました」（Temar社社長　Arkadiusz Okoń氏）