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協働ロボット10台でギア搬送を自動化し品質と生産性を向上

協働ロボットで進化するSEAT Componentesの生産現場

協働ロボットで搬送・パレタイジングを自動化し生産性を向上

概要

ギアボックスメーカーのSEAT Componentesは、スペイン・バルセロナ工場において、1日18,000個に及ぶ機械加工済みギアの搬送工程を自動化し、品質向上と作業効率の改善に取り組みました。

同社はユニバーサルロボットの協働ロボット10台を、外部のシステムインテグレーターに依頼することなく、自社の技術者だけで導入・構築。これにより、協働ロボットに関する技術やノウハウを社内に蓄積するとともに、プログラミングや保守にかかるコストの削減も実現しました。

また、既存の工場レイアウトを変更することなく導入でき、新たな生産品目への切り替えも1時間以内で完了します。その結果、作業ミスの削減や安全性の向上に加え、自社で新たな自動化プロジェクトを推進できる体制を構築しました。

品質向上を目指した搬送工程の自動化

SEAT Componentesは、フォルクスワーゲングループ向けギアボックスを製造するメーカーです。フォルクスワーゲン、アウディ、SEAT、シュコダなど、多様な車種に搭載されるギアボックスを供給しています。

スペイン・バルセロナ工場では、アルミニウム鋳造から、ギアやシャフト、シンクロナイザー、ディファレンシャルギアを含むギアボックスの組み立て、さらに品質検査までを一貫して行っています。ギアボックスは走行性能や静粛性に大きく影響するため、高い品質と精度が求められる製造工程です。

従来、機械加工を終えた部品は、作業者が台車を使って搬送し、組み立て工程へ供給していました。しかし、人手による搬送では、作業負荷やヒューマンエラーのリスクが避けられません。

そこで同社は、搬送工程の自動化によって作業ミスを削減するとともに、安全性の向上を目指しました。

SEAT Componentesのシニアマネージャー(テクニカルサービス担当)のEduardo Fonseca氏は、次のように語ります。

「私たちの目標は、機械加工から組み立てまでの工程で、作業者が部品に触れる機会をできる限り減らすことでした。」

SEAT Componentes

業界 ギアボックスメーカー
スペイン
従業員数 1000~
使用したURロボット UR10
使用した周辺機器 Robotiq 2F-140 gripper and Zimmer Group Collaborative gripper

協働ロボットによる自動化の進め方

協働ロボットを活用し、手作業から自動化へ移行するまでのプロセスと、導入時のポイントをご紹介します

コンパクトで導入しやすい協働ロボット

コンパクトで導入しやすい協働ロボット

SEAT Componentesは、協働ロボット導入に先立ち、パイロットテストを実施しました。導入コストや立ち上げ期間、安全対策の要件に加え、実際の生産ラインで運用できるかといった技術的な実現性を総合的に検証しました。

その結果、同社はユニバーサルロボットの協働ロボットを採用しました。

SEAT Componentesのメンテナンス技術部門でテクニカルオフィスを担当するFrancisco Pérez氏は、次のように語ります。

「ユニバーサルロボットを選んだ理由は、プログラミングが容易で、生産ラインへの組み込みもスムーズに行えたことです。さらに、本体がコンパクトなため、既存のレイアウトを変更することなく設置でき、作業者と同じエリアで安全に運用できました。」

柔軟な運用で多品種生産に対応

柔軟な運用で多品種生産に対応

現在、UR10eは10種類の加工ラインで稼働しています。固定設備として運用するのではなく、生産する部品に合わせて柔軟に切り替えられることが大きな特長です。

SEAT Componentesのメンテナンス技術部門でテクニカルオフィスを担当するFrancisco Pérez氏は、次のように語ります。

「10分もあれば、ある部品の搬送作業から、まったく異なる部品の搬送作業へ切り替えることができます。」

PLC・AMRとの連携で設備停止を最小限に抑制

PLC・AMRとの連携で設備停止を最小限に抑制

協働ロボットはPROFINETを介してPLC(プログラマブルロジックコントローラー)と連携し、機械加工が完了した部品の有無をリアルタイムで受け取ります。加工済みの部品がある場合は、協働ロボットが部品を自動でトレーへ搬送します。

トレーが満載になると、PLCがAMR(自律移動ロボット)へ指示を送り、満載のトレーを回収するとともに、新しいトレーを自動で供給します。

この連携により、部品の搬送・交換を自動化し、機械の停止時間を最小限に抑えながら、生産設備の稼働率向上を実現しています。

ジャストインタイム生産で在庫を最適化

ジャストインタイム生産で在庫を最適化

AMR(自律移動ロボット)は、製造スケジュールに合わせて必要な部品を必要なタイミングで倉庫へ搬送します。これにより、ジャストインタイム生産を実現し、余剰在庫の発生や保管コストの削減につなげています。

その後、部品はギアボックス組立ラインへ供給され、ギアは専用トレーにセットされます。続く自動組立工程では、残りの部品が順次組み付けられ、ギアボックスが完成します。

協働ロボットは、この一連の工程と連携しながら生産サイクルに合わせて稼働することで、日々の生産目標の達成を支えています。

11台目の協働ロボットで教育・検証体制を強化

11台目の協働ロボットで教育・検証体制を強化

SEAT Componentesでは、11台目のUR10eを生産ラインではなく、教育・検証専用機として活用しています。

この協働ロボットは、実際の設備や作業環境を再現した状態で、社内トレーニングを行うために使用されています。これにより、オペレーターは協働ロボットのプログラミングや操作方法を実践的に習得できます。

また、新たな設備やアプリケーションを生産ラインへ導入する前に、コンセプトの検証や動作テストを実施できるため、導入時のリスクを抑えながらスムーズな立ち上げを実現しています。

3Dプリンターでグリッパーフィンガーを内製

3Dプリンターでグリッパーフィンガーを内製

SEAT Componentesでは、協働ロボットのグリッパーフィンガーを3Dプリンターで製作しています。アプリケーションごとに求められる安全性や仕様に合わせて、必要な形状のフィンガーを社内で迅速に製作できる体制を構築しています。

これにより、交換部品を在庫として保管する必要がなくなり、必要なタイミングでスペアを製作することが可能になりました。

また、新しいフィンガーの試作やコンセプト検証も45分以内で行えるため、開発スピードの向上と柔軟な設備対応を実現しています。

協働ロボットのノウハウを社内に蓄積

協働ロボットのノウハウを社内に蓄積

SEAT Componentesでは、協働ロボットの導入・統合を自社で行うことで、プログラミングやシステム構築に関するノウハウを社内へ蓄積してきました。

また、保守・メンテナンスも自社で対応できる体制を整えたことで、設備トラブルが発生した際にも迅速な対応が可能となり、設備停止による影響を最小限に抑えています。

SEAT ComponentesのメンテナンスマネージャーであるManuel Gómez氏は、次のように語ります。

「協働ロボットの導入・統合を社内で行ったことで、プログラミングに関するノウハウを蓄積できました。また、メンテナンス部門で協働ロボットを運用できるようになったため、トラブル発生時にも迅速に対応でき、設備停止によるコストの削減につながっています。」

直感的な設定で段取り変更を効率化

直感的な設定で段取り変更を効率化

生産品目の切り替えをスムーズに行える背景には、UR+で認定された周辺機器と協働ロボットを直感的に設定できることがあります。

SEAT Componentesのメンテナンス技術部門でテクニカルオフィスを担当するFrancisco Pérez氏は、次のように語ります。

「新しいアプリケーションでも、1時間以内に立ち上げることができました。」

また、これらの設定変更はすべて社内で対応できるため、システムインテグレーターへ依頼する必要がなく、導入・運用コストの削減にもつながっています。

協働ロボットが作業者の付加価値向上を支援

協働ロボットが作業者の付加価値向上を支援

協働ロボットの導入により、作業者は1日18,000個もの部品を手作業で搬送する業務から解放されました。

SEAT ComponentesのメンテナンスマネージャーであるManuel Gómez氏は、次のように語ります。

「協働ロボットの導入により、作業者は品質改善や工程改善など、より付加価値の高い業務に時間を充てられるようになりました。」

そのため、現場では協働ロボットを人の仕事を奪う存在ではなく、業務を支援するパートナーとして受け入れています。

さらに、協働ロボットの導入・運用を自社で進めてきたことで、自動化に関する技術やノウハウが社内に蓄積されました。現在では、新たな自動化プロジェクトにも自社のチームで取り組める体制が整っています。

Gómez氏は、次のように述べています。

「現在では、自動化プロジェクトは収益性の向上だけでなく、新たな技術やノウハウを社内に蓄積するという点でも大きな価値をもたらしています。」

最後に、SEAT Componentesのシニアマネージャー(テクニカルサービス担当)のEduardo Fonseca氏は、このプロジェクトを次のように総括しています。

「このプロジェクトは、生産性、品質、収益性のすべてを向上させる成果につながりました。」

協働ロボットの導入・統合を社内で進めたことで、プログラミングのノウハウを蓄積できました。その結果、設備停止が発生した際も、自社で迅速に対応できるようになりました。

Manuel Gómez, Maintenance Manager at SEAT Components

協働ロボットの導入を自社で内製化

SEAT Componentesのメンテナンスチームは、2015年にショットブラスト工程と洗浄工程へユニバーサルロボットの協働ロボットを導入した経験を生かし、今回の自動化プロジェクトを推進しました。

過去の導入を通じて、協働ロボットは設置や保守、システム統合が容易であり、リスクアセスメントに基づいた適切な安全対策を講じることで、従来型の産業用ロボットのような大規模な安全柵を設置せずに運用できることを確認していました。

また、ショットブラスト工程と洗浄工程では、協働ロボットの導入によって作業の効率化と工程の最適化を実現していたことから、今回もギア搬送工程への導入を決定。UR10eを10台導入し、機械加工後の部品搬送を自動化しました。

さらに、これまでに培ったノウハウを生かし、システムインテグレーターに依頼することなく、自社のメンテナンスチームだけで導入・立ち上げを実施。これにより、初期導入だけでなく、その後の保守・メンテナンスにかかるコストも削減しています。

社内で導入体制を確立するため、まずメンテナンスチームはUR Academyの無料オンライン講座を受講し、協働ロボットの基礎知識やプログラミングを習得しました。その後、パイロットプロジェクトとして最初の1台を導入・検証し、本格展開へと進めています。

解決した課題:

  • 1日18,000個のギア搬送を自動化し、作業者の負担を軽減
  • AMRと連携し、部品搬送を自動化
  • ヒューマンエラーを削減し、安全性を向上
  • 3Dプリンターによるグリッパーフィンガーの内製化

導入の決め手:

  • 自社の技術者だけで導入・運用できる内製化体制
  • 追加コストをかけずに生産変更や工程改善へ迅速に対応
  • 直感的な設定により、新しいアプリケーションを1時間以内で立ち上げ
  • 既存レイアウトを変更せずに導入可能な省スペース設計

協働ロボットが担う工程:

  • 機械加工後のギア部品の搬送・供給

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  • 生産性を向上させる
  • 変化する製品需要に適応する
  • 従業員の幸福と定着率を改善する
  • 労働力不足を補う