「触れて、考えて、動かす」実践的ロボット教育の構築

阿南工業高等専門学校

概要

徳島県阿南市にある阿南工業高等専門学校(阿南高専)は、1963年創立の工学系高等教育機関です。本科1学科5コース、専攻科1専攻4コースを有し、実験・実習を重視したカリキュラムにより、即戦力人材を多数輩出しています。 同校では、将来の人手不足や産業構造の変化を見据え、ユニバーサルロボットの協働ロボットを活用した実践的な教育をいち早く導入。ロボットを「教科書で学ぶ対象」ではなく、「実際に触れて使いこなす技術」として学ぶ環境を整えています。 人と同じ空間で安全に扱える特長を活かし、実際の生産現場を再現した実習や、デジタルツイン技術を活用したシミュレーション学習を展開。これにより、Society 5.0時代に求められる「実践的エンジニア」の育成を目指しています。

課題

電気や制御は目に見えない要素が多く、どうしても実習が単調になりがちでした。 また、従来のロボットを用いた教育は、比較的難易度の低い内容が中心で、実際の製造現場で使われる技術とのギャップも課題でした。 さらに、産業用ロボットを用いる場合は安全柵が必要で、学生が「自ら触れて学ぶ」機会も限られており、ものづくりの楽しさを実感しながら、自ら課題を発見・解決する力を育むことが教育現場の大きな課題となっていました。

阿南工業高等専門学校

業界 教育・研究
日本
従業員数 100
使用したURロボット UR5e, UR10e

ソリューション

阿南高専

安全に「触れて学ぶ」ロボット教育

阿南高専が導入したのは、人と同じ空間で安全に使えるURロボットです。従来の産業用ロボットとは異なり、安全機能が内蔵されているため、学生が実際にロボットの動作を確認しながら学ぶことができます。

「ロボットは難しい」「専門知識が必要」という先入観が払拭され、学生は楽しみながら前向きにロボット実習に取り組むようになりました。結果として、実習への集中度や主体性が大きく向上しています。

VRヘッドセットを用いたティーチング

デジタルツインで仮想から現実へ

高専機構が進める実践校プロジェクトに採択されたことをきっかけに、デジタルツインを活用した実習を開始しました。

最初は、ベルトコンベヤー上を流れるブロックを自動認識し、ロボットが把持するという基本的な自動化実習からスタート。

その後、VRやAR技術を用いた、より高度な自動化実習へと発展させています。ARゴーグルを装着することで、ロボットの動作を仮想空間で検証してから実機に反映。安全性を確保しつつ、試行錯誤を重ねることで、問題解決力を身につけるプロセスを重視しています。

阿南高専の学習環境

実務テーマを通じた課題発見型学習

URロボットによるピック&プレースやマシンテンディングなど、実際の製造現場で活用されるテーマを教育に導入。

単なる操作練習にとどまらず、「どうすれば安定して動かせるか」「サイクルタイムを短縮できるか」といった実務視点の課題に学生が自ら挑戦しています。

阿南高専の学習の様子

チーム学習で多様な視点を育てる

学生4~5名のチームで同じ課題に取り組むことで、解決アプローチの多様性を体感。プログラム構成・カメラ設定・治具設計など、各分野のアイデアを持ち寄り、議論を通じて最適解を導き出す力を育てています。

学内でのプレゼンテーションを通じ、成果を他チームと共有することでコミュニケーション力の育成にもつながっています。

ロボットは非常にキャッチーで、学生が楽しみながら前向きに実習に取り組んでくれています。

尾﨑 貴弥 氏 阿南工業高等専門学校 技術専門職員

課題を克服

  • 安全面の制約:フェンスレスで運用可能な協働ロボットにより、教室でも実習を実現。
  • 学生の関心不足:見て・触れて・動かす体験を通して、学びのモチベーションが向上。
  • 実務力育成の難しさ:デジタルツインによる検証と実機操作で、現場に直結する思考力を養成。
  • 個別学習の限界:チームで取り組む課題設定により、協働と論理的思考を同時に育成。

導入の決め手

  • 安全に扱え、教育環境に最適な協働ロボットの設計思想
  • 短時間で操作を習得できる直感的ティーチング
  • RoboDK・ARなどと連携できる拡張性の高さ
  • 学生が主体的に試行錯誤できる教育効果と実践性

協働ロボットを用いた作業

  • オートピッキング:カメラでワークを認識し、所定位置に正確に整列。
  • マシンテンディング:加工機へのワーク投入・取り出しを自動化。
  • デジタルツイン連携:RoboDK+ARで動作検証→URロボット実機へ反映。

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