多様化するニーズに自動化で対応
LEM Opticalは、イタリアのGalliate Lombardoに拠点を置き、大手アイウェアブランド向けに高性能なスポーツアイウェアやスキーゴーグルを製造しています。人件費の低い国々との競争や、製品バリエーションに対するニーズの高まり、継続的なコスト削減への対応を背景に、同社は生産工程の自動化を積極的に進めてきました。現在では4台のユニバーサルロボット製協働ロボットを導入し、レーザーマーキング、接着剤塗布、射出成形機のマシンテンディングを自動化しています。
3つの工程で異なる自動化の課題を解決
世界的に評価の高いスポーツアイウェアブランドの製品を手がけるLEM Opticalは、生産現場が抱えるさまざまな課題を解決するため、協働ロボットによる自動化を選択しました。これまでに4台のユニバーサルロボット製協働ロボットを導入し、3つの異なる工程で活用しています。それぞれの工程には、次のような課題がありました。
レンズへのレーザーマーキング:レーザーの焦点と曲面レンズとの距離を一定に保ちながら、レンズの動きに合わせてレーザービームを制御し、表面全体に正確なマーキングを施す必要がありました。
水性接着剤の塗布:スキーゴーグルのフォームパッドに対し、一部の領域を避けながら、あらかじめ設定した軌道に沿って適量の接着剤を正確に塗布する必要がありました。また、この工程は重量のある設備を設置できない中二階にあるため、システムには軽量かつ省スペースであることも求められました。
射出成形機のマシンテンディング:作業者に身体的な負担がかかる工程を自動化するとともに、サイクルタイムを短縮し、生産効率を向上させることが課題でした。
LEM Optical
4台の協働ロボットで3つの工程を高精度に自動化
LEM Opticalは、ユニバーサルロボットの正規販売代理店であるAlumotionに相談し、協働ロボットのシステム統合を進め、3つの工程を自動化しました。
高精度なレンズへのレーザーマーキング
レンズへのレーザーマーキング工程では、同じ構成の2つのセルに、それぞれUR3協働ロボットを1台ずつ導入しています。協働ロボットは、LEM Opticalが独自に開発した真空グリッパーを使って、すでにゴーグルのフレームに組み込まれたレンズをピックアップします。
その後、レンズをレーザーの下に移動させ、レーザーの焦点との距離を一定に保ちながらレンズの縁に沿って動かすことで、正確にマーキングします。両方のレンズへのマーキングにかかるサイクルタイムは約3分で、作業が完了すると、協働ロボットがレンズとフレームをラックに戻します。各セルには20~40個のレンズを収容できる供給バッファーが設置されています。
LEM Opticalのゼネラルマネージャー兼共同オーナーであるStefano Lodigiani氏は、次のように説明します。
「協働ロボットがなければ、この工程の自動化は実現できませんでした。手作業ではレーザーの焦点との距離を一定に保つことが難しいのですが、協働ロボットなら工程に必要な精度と再現性を確保できます。また、2つのセルに供給バッファーを設けたことで、この工程をほぼ完全に自動化できました。作業者が行うのは、約1時間に1回のバッファーへの補充と品質検査だけです。繊細な工程で高い精度を維持しながら、人員配置を最適化し、従業員をより付加価値の高い業務に配置できるようになりました」
安定した品質を実現する接着剤塗布
LEM Opticalの主力製品には、さまざまなモデルのスキーゴーグルがあります。この工程では、ゴーグルのフレームに接着するフォームパッドの所定の部分に、水性接着剤を塗布します。
製品の仕様上、フォームパッドはフレームの外側に約2mmはみ出すため、接着剤はフレームと接触する部分だけに正確に塗布する必要があります。
Stefano Lodigiani氏は、「手作業では、同じ軌道を一定の速度でたどりながら、必要な再現性を保って接着剤を塗布することは困難でした」と説明します。
「そこで、タンクから接着剤を供給するディスペンサーを搭載したUR5を導入しました。UR5は常に同じ軌道を一定の速度で動きながら、フォームパッドに接着剤を塗布します。これによって、安定して高品質な製品を生産できるようになりました」
さらに、この工程は工場内の中二階にあり、設置スペースが限られているうえ、床への荷重にも制約がありました。そのため、自動化設備には軽量かつコンパクトであることが求められました。UR5は20kg未満と軽量なため、階段を使って運び込み、容易に設置することができました。
射出成形機のマシンテンディングで作業負担を軽減
LEM Opticalが構築した3つ目のアプリケーションは、スキーゴーグルのフレームを製造する射出成形機のマシンテンディングです。
UR10協働ロボットが金型を射出成形機にセットし、成形サイクルの完了後に取り出して、作業者が完成したフレームと金型を分離する受け渡しエリアまで搬送します。
協働ロボットには4点で把持できるピックアップユニットが取り付けられています。そのうち2点で空の金型2個を把持して射出成形機へセットすると同時に、残りの2点で成形済みフレームが付いた金型2個を取り出します。その後、作業者がフレームと金型を分離し、次の成形サイクルへと進みます。
「この工程で協働ロボットは、大きく2つの課題を解決しています」とStefano Lodigiani氏は説明します。
「一つは、成形工程における作業者の身体的負担の軽減です。金型は1個あたり約1kgあり、作業者は約60~70秒ごとに合計約4kgの金型を扱う必要がありました。もう一つは、生産速度の最適化です。プラスチック成形では、製品品質を安定させるうえでサイクルタイムが非常に重要です。協働ロボットを活用することで、一定の速度と条件で工程を繰り返し、安定した生産を実現できます」
Claudio Marcassa, LEM Optical Business Development Manager and co-owner協働ロボットによる自動化がなければ、厳しい市場競争の中で競争力を維持し、お客様が求める多様なカスタマイズに対応することはできなかったでしょう
自動化で生産性と多様なカスタマイズを両立
アイウェア業界では、現在も多くの工程が手作業で行われており、自動化は十分に進んでいません。LEM Opticalでは、協働ロボットを活用することで、安定した生産性を確保するとともに、人員配置の効率化を実現しました。
さらに、協働ロボットの柔軟性を生かすことで、手作業だけでは難しかった、お客様から求められる多様なカスタマイズにも対応できるようになりました。
こうした自動化によって、LEM Opticalは複数の重要な製造工程を最適化し、生産性を高めると同時に、製品品質の向上も実現しています。








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