Canvas
これまで手作業が中心だった建設現場は、サンフランシスコ発のスタートアップCanvasによって大きな技術革新を迎えています。Canvasは、重労働である石膏ボード(ドライウォール)仕上げ工程を自動化するロボットシステムを開発しました。UR10e協働ロボットを統合することで、従来は多大な時間と労力を要していた作業を、大幅に効率化しています。
Canvasの共同創業者兼CEOであるケビン・アルバート氏は、深刻な人手不足に直面する建設業界において、自動化の必要性を強く認識していました。 「今後40年間で、私たちは今の2倍の建設を行わなければなりません。しかし同時に、新たに業界に入ってくる1人に対して、2人が引退しています」とアルバート氏は語ります。
この課題意識を背景に、Canvasは高度なセンシング技術、AI、そしてUR協働ロボットを搭載した移動式プラットフォームを開発しました。物流や製造業のような固定環境とは異なり、建設現場は一つひとつ条件が異なるため、ロボット導入が難しい分野でした。 「事前の図面やマッピングは不要です。現場を自動で認識するため、建物内に機械を持ち込めば、すぐに作業を開始できます」とアルバート氏は説明します。

Canvasのソリューションは、石膏ボード仕上げ工程において、工期を最大60%短縮し、人手を約40%削減するという大きな成果を上げています。従来、スプレー塗布と研磨を手作業で行う場合、5〜7日かかっていた工程が、レベル4(目地のみ)およびレベル5(壁全面)の仕上げでも、約2日で完了します。
「手作業では、同じ壁に何度も戻る必要があります。そのため、20,000平方フィートの壁面に対して、実質100,000平方フィート分の作業が発生します」とアルバート氏は説明します。
「Canvasでは、同じ壁に戻る回数は3回だけで済みます。」

スピードや効率性だけでなく、作業者の安全性と身体的負担の軽減も、Canvasが重視する重要なポイントです。
「建設作業者の4人に1人は、仕上げや研磨といった反復的で負荷の高い作業が原因で、キャリアの終盤に筋骨格系の問題を抱えています」とCanvasのCEOは語ります。
Canvasのロボットは、この「最もきつく、重い作業」を担い、作業者を過酷な工程から解放します。作業者は調整や細部の仕上げといった人の判断が必要な作業に集中でき、キャリアを長く続けられる可能性が高まります。この人とロボットの協働という考え方は、UR協働ロボットを選定した大きな理由の一つであり、Canvasは労働組合に対しても、作業者の健康、生産性、キャリア形成の観点からその有効性を示しました。

Canvasシステムの中核となっているのが、ユニバーサルロボットのUR10e協働ロボットです。
「このクラスの強度を持つロボットとしては、非常に軽量です」とアルバート氏は語り、高さ15フィートまで安定して作業できる移動式プラットフォームの実現に不可欠だったと説明します。
共同創業者兼CTOのマリア・テレリア氏は、URに内蔵された力制御機能を高く評価しています。石膏ボード用パテ材は「爪で傷が付くほど柔らかい」ため、非常に繊細な制御が求められます。
「外付けの力制御は不要で、ロボットアームにすでに高精度な制御機能が内蔵されています」とテレリア氏は語り、他の協働ロボットと比較しても、その精度は群を抜いていたと述べています。

URプラットフォームの成熟度も、Canvasの迅速な開発を支えた大きな要因です。
「最初のUR協働ロボットを受け取ってから、わずか2か月で初めての現場作業を行うことができました」とアルバート氏は語り、ディストリビューターとURからのサポートを「驚異的」と評価しています。
URは、myURポータルを通じて、ケース登録、ログ管理、修正情報、ロボットごとの詳細情報を一元的に提供しています。
「すべてのやり取りをポータルで管理でき、購入履歴や保証情報もすぐに確認できます」とテレリア氏は述べています。
また、ユニバーサルロボットのソフトウェアプラットフォームは非常にオープンで、センサーデータなどの低レベル情報や、関節レベルでの制御カスタマイズも可能です。さらに、URコントローラのDC電源仕様は、電圧変換が不要となり、移動式プラットフォームでのバッテリー効率向上にも貢献しました。

アルバート氏は、これを建設業界における大きな転換点と捉えています。
「これまで内装工事はすべて手工具で行われてきました。これは、室内建設空間における初めての本格的な重機プラットフォームです。」
今後Canvasは、20フィート(約6m)以上に対応できる、より背の高いロボットの開発を目指しています。これにより、高所作業による転落リスクをさらに低減し、作業者の安全性を高める計画です。また、既存の材料吹き付け技術を活かし、塗装工程への展開も視野に入れており、建設プロジェクト全体のさらなる省力化と効率向上を目指しています。
数千の企業が協働ロボットを活用しています...